●サーキュラーエコノミーとは?

サーキュラーエコノミーは日本語で「循環型経済」という意味で、製造した製品が最終的に捨てられるのではなく、また製品を作るのに役立てられるような経済の仕組みを指します。たとえば、牛乳の紙パックを作るのに、使用済の紙パックから成る繊維をある程度再利用して、資源の急激な枯渇を防ぐといった具合です。使い終わったら燃やして、燃えカスを最終処分場と呼んでいる土地(地球)に埋めていくという従来の「廃棄」を、できるだけ減らしていこうという取り組みです。

サーキュラーエコノミー(循環型経済)を実現するには、研究開発、メーカー、物流、小売、回収リサイクル業者といったあらゆる業種の連携が重要で、中でも「回収・再利用」(リサイクル)の行程は消費者(ユーザー)の行動によって左右されます。商品の一生を循環させるには消費者の高い志と、それに伴う行動が必要となるのです。また、関わる企業も、使い終わったらゴミ箱に直行するような商品開発をやめて、循環させる仕組みを構築しなくてはなりません。実際、これを「負担」としてとらえるのではなく、新たな事業機会(ビジネスチャンス)と前向きにとらえて、新規事業の創出、新規雇用の創出を狙う企業・人もいます。
目指すところは「廃棄ゼロ」の経済であり、使い終わったら捨てる、壊れたら捨てる、といった高度成長期の考え方・行動は終わりを迎え、修理やリメイクを通して使い続けられる商品開発が求められています。

実際の循環型経済を確立する手法としては、「再生可能な原材料利用」、「廃棄予定設備や製品の再利用」、「製品修理による再使用」、「共有(シェア)による需要対応」、「サブスクリプションによる提供」などがあげられるでしょう。
また、サーキュラーエコノミー時代の周辺ビジネスとしては、循環型経済導入コンサルティングが最も注目されています。特に当初は「CO2排出量の見える化」と「CO2排出量の削減」が必須です。ゴールドラッシュの時に、金の採掘をした人よりも、作業服を販売したリーバイス、銀行のウェルズ・ファーゴ、金が出たと喧伝した新聞社、鉄道で利益を得てスタンフォード大学を創立者したリーランド・スタンフォードなどがしっかりと儲けたことも覚えておくと良いでしょう。

●サーキュラーエコノミーの必要性とは?

では、なぜ今サーキュラーエコノミー(循環型経済)が必要なのでしょうか。それは、今のまま廃棄を続けていると早晩、快適な生活が送れなくなる恐れが高まってきているからです。日本は人口減に直面していますが、世界的には2050年に人口が100億人近くなるという国連推計もあります。従来の発展途上国が新興国になり、人口が爆発的に増えるとともに、限りある資源の使用量が今の2倍にもなると推計されているのです。

大量生産による安価な商品の氾濫、それに伴う大量廃棄が、すでに弱小国の環境悪化を招いています。2022年に入り、輸入大国の日本では、燃料や原料の高騰が原因で食品などの値上げが頻発しています。この先には「食糧難」が待っているという指摘もあり、これまでの大量生産・大量廃棄の行動を変えて生活していく必要があるでしょう。その対策として期待されているのが、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の確立なのです。

●サーキュラーエコノミーの3原則とは?
国際的なサーキュラーエコノミー推進機関に「エレン・マッカーサー財団」があります。その団体が挙げているのが、次の「サーキュラーエコノミー3原則」です。

【1】自然のシステムを再生(Regenerate natural systems)
有限な資源ストックを制御し、再生可能な資源フローの中で収支を合わせることにより、自然資本を保存・増加させる。
【2】製品と原料材を捨てずに使い続ける(Keep products and materials in use)
技術面、生物面の両方において製品や部品、素材を常に最大限に利用可能な範囲で循環させることで資源からの生産を最適化する。
【3】ゴミ・汚染を出さない設計(Design out waste and pollution)
負の外部性を明らかにし、排除する設計することによってシステムの効率性を高める。